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*今月のまとめ*


1.彗星核は惑星に取り込まれなかった微惑星であり、太陽系の形成
 の歴史を保存している「タイムカプセル」である。

2.彗星核を調べることで、原始太陽系円盤内部で起こっていた化学反応
 の種類や温度、密度、そして微惑星の軌道の進化できる。

3.その一例として彗星核に含まれる分子を観測したところ、太陽系のもと
 になった分子雲の温度が約30Kであることがわかっている。



私たちの体のおよそ80%を占める水。彗星核に含まれている主な氷の成分も
水です。そのため、水分子に関する研究は大変さかんに行われています。
太陽系に存在する惑星や分子雲などの水分子(H2O)とHDO(DはHの同位
体、重水素)の存在割合を調べたところ、以下の図のように なりました。
ただし、地球は海水での割合です。 木星、土星は分子雲に近い値を示して
いますが、地球はそれよりも 高い値を示し、さらに彗星は地球より高い値を
示していたのですが、 近年地球の値に非常に似ている彗星が発見されました
(103P/Hartley 2彗星)。
この図をみて、以下の2つの問題を考えてみましょう。



Q1.地球の値が他の惑星より高くなっているのは、なぜでしょうか?

1)地球で重水素が作られて、HDOが増えたため  
2)H原子だけが地球の大気圏外に逃げていったため
3)海水が蒸発するときに、H2Oだけが蒸発したため
4)海の中で化学反応がおこってHDOが作られたため

Q2. 103P/Hartley 2彗星の観測結果から、どんなことが言えるでしょうか?

1)彗星が地球と同じ場所付近でできた
2)彗星が地球にぶつかって、同じ値に見えている
3)彗星の中で化学反応がおこって、たまたま地球と同じくらいになった
  彗星が地球と同じ場所付近でできた
4)地球の物質が彗星に運ばれて同じになった


ヒント:彗星核(=微惑星の余り物)ができたあと、木星などの巨大惑星の影響で、軌
    道が大きく変わったと言われています。その後海王星より遠い場所にとばされ
    た彗星核もありますが一部は太陽系の内部に向かう軌道に変えられたものも
    存在しており、そのような彗星核が月にぶつかって、クレーターができたと
    言われています。

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小林仁美による7月号の"生"解説
配信終了しました。
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